プロジェクト管理
作成者: Grace Ellis
2022年1月20日
購読にかかる時間: 12分
このコネクテッド コンストラクションの新時代では、常に最高レベルを維持することが、これまで以上に重要です。時間や予算の面でのわずかな後れが、競合に敗れたり、今後の技術開発が、取り返せないほどまでに、大幅に遅れたりすることにつながる可能性があります。施工開始前の請負業者の業務で最も重要な側面の1つとして、建設に際しての提出物管理が挙げられます。この提出物は、プロジェクトの完了の精度、提案のタイムラインの実現、および予算の項目を決定するものです。
建設会社として他社より優位に立つには、単に条件・状況を理解するだけでなく、それがあなた自身の仕事やプロジェクト、さらには生活に、なぜ重要になるのかを理解することが大切です。ここでは、建設における提出物とは何か、なぜそれが重要なのか、提出物ソリッド テンプレートの基本、その構成要素、およびプロセスを合理化する方法について詳しく見ていきます。
主なポイント
重要な局面で冷静さを失わないようにするには、最先端の組織的な通信システムを使用して提出物を合理化する一方で、用語を理解しておくことが重要です。
建設の提出物はbizfluentによって「プロジェクトでの使用を承認するため、請負業者がアーキテクトに提出するドキュメント」と定義されており、Lexology では「提出物は、製造し、プロジェクトに納品される前に、設備、資材などを承認するために請負業者が設計者に提供する情報で構成される」と定義されています。
建設の完了後に完成すると想定されているクローズアウトや竣工図のようなプロセスとは異なり、提出物プロセスはプロジェクトの初期段階から開始され、プロジェクトが実際にどのように実行されるかの指針となります。
建設を開始する前に、あらゆる機器や材料の種類、さらには塗料の正確な色などの詳細まで、提出物によってレビューおよび承認を得る必要があります。プロジェクトによっては、建設提出物の項目が数千にも及ぶ可能性があります。これには次のものが含まれます。
これらのドキュメントは、プロジェクトを非常に詳細なレベルまで明らかにし、設計者から設備、材料などの承認を受けるためのものであるため、建設の実現には不可欠なものです。承認は、各項目の製造および配送の前に必要です。後になってからでは、不要な手戻りと費用拡大を防ぐことができません。
提出物の品質も重要です。建設の提出物が詳細であれば、適正な予算と正確なスケジュールを作成できる確率が高くなり、結果としてプロジェクト全体の成功につながります。しかし、建設の提出物には、それぞれのプロジェクト仕様に関連する何千もの資料が含まれることが多いため、正確に整理して入力することが重要です。十分な詳細情報が含まれていない場合、または提出物ログの作成時にエラーが発生した場合は、プロジェクト全体に支障をきたす可能性があります。
これまでの提出物レビューのプロセスは、時間がかかり、面倒であると施工専門家の多くから聞きます。まず、すべての提出項目は専門請負会社から集めたものである必要があります。これにより、プロジェクトの各側面に関する詳細なデータと仕様を把握できます。これまでは、大量の Excelシートなどと同じで、時間をかけて手入力するため、精度やミスが問題になっていました。建設プロジェクト管理ソフトウェアは、このプロセスを自動化し、結果として提出項目の精度と品質を向上させることができます。提出項目が収集されると、アーキテクトと設計チームはすべてのコンプライアンスの順守を確認し、ゼネコン業者はすべての項目の製品と仕様が適切かを確認する必要があります。
一般的な提出物ワークフローは次のようになります。
このプロセスをスムーズに実行するには、整理が鍵となります。整理していかなければ、数千もの関連ドキュメントや建設プロジェクトを構成する多数の階層の作業は、すぐに大量かつ、バラバラになるでしょう。このため、包括的な提出物ログを作成することが重要です。提出物ログは、プロジェクトのすべてのドキュメントを追跡し、設計チームによってすべての項目が承認されていることを証明するレコードとして使用されます。適切な提出物ログには、少なくとも次のものが含まれています。
包括的な提出物ログがなければ、提出プロセスを確実に管理することは不可能です。提出物ログ テンプレートをお探しの場合は、無料のテンプレートをこちらからダウンロードしてください。
これで、建設の提出物とそのプロセスはどのようなものか、必要不可欠だが時には煩わしい提出ワークフローを改善する方法をご理解いただけましたか? では、3つの重要な柱となるものの改善から始めましょう。
テクノロジーは、上記の柱を実現する上で重要な役割を果たします。さて、どこから着手すべきでしょうか?ここでは、今すぐクラウドベースのテクノロジーを使用して提出プロセスを合理化できる 9 つの手順を説明します。
前述のとおり、建設仕様書とは、設計に従ってプロジェクトを構築するために必要な材料と技量を記述するものです。仕様書はプロジェクトのサイズに応じて、100~2,000ページにおよび、提出登録項目は1,000件にも及びます。
自動提出物ログ(ASL)を使用すると、プロジェクトの開始時に仕様書から提出物ログを作成できます。仕様書が100 ページでも1,000ページでも、ASL を使用すれば、プロジェクトのすべての提出登録項目を含むダウンロード可能で正確な表をわずか数分で作成できます。これにより、時間とエラーの可能性を低減できます。
提出プロセスには、何十人もの人が関わっており、建築物が仕様に従っていることを確認するために、製品データ、施工図、クローズアウトの提出と承認の作業が含まれています。外部の人間が提出物ワークフローに完全に参加することは重要ですが、同様に、プロジェクト機密情報は非公開にしておくことも重要です。柔軟性と制御の両方を備えたテクノロジーを利用すると、ボタンをクリックするだけでプロジェクト外のメンバーに提出物を割り当てることができます。
柔軟性と制御性の両方を備えたテクノロジーを利用すると、ボタンをクリックするだけでプロジェクト外のメンバーに提出物を割り当てることができます。外部パートナーをプロジェクト自体に追加する必要がないため、シート、注釈、ドキュメントなどの非公開情報は常に機密にしておくことができ、プロジェクトを進めることができます。
提出プロセス全体ですべての情報を追跡する必要があるため、項目が見逃されることがあります。提出登録項目がどれだけあっても、フィルタ機能を使用すれば、提出物のリストを絞り込んで必要なものだけを検索できます。仕様セクション、優先度、ステータス、承認者、レビュー担当者、作成日、期日、提出タイプなど、任意の項目でフィルタできます。
提出物プロセスには、承認されたドキュメントを現場チームと共有して建設を開始するまでに多数のステップがあります。提出物をアップロードするベンダーやサブコン業者から、それを承認する設計チームやコンサルタントに至るまで、パートナーが提出物追跡システムのセットアップに余計な時間を費やす必要はありません。
承認アラートを電子メールで送信する建設プロジェクト管理ソフトウェアを利用します。提出項目が割り当てられたという通知が、承認者の受信トレイに直接届くと、責任遂行能力や可視性が向上し、返信がさらに迅速に送信されるようになります。
すべての提出物は、現場に公開される前のレビューと承認にさまざまな人が関与しています。これらすべての受け渡しを通じて、提出物ドキュメントにはマークが付けられ、名前が変更され、並べ替えられ、スタンプが押されるため、現場チームが仕様に従って施工していることが保証されます。チームに適切なツールがなければ、複数のプラットフォーム間を行き来したり、手作業の非効率的なシステムに逆戻りしたりする可能があります。
ドキュメントを一元化するツールを使用すると、提出物の PDF マークアップが可能になり、チームはドキュメントを書き出して、別の PDF ツールでマークアップし、アップロードしてシステムに戻す手間が不要になります。この機能なら、テキスト、ハイライト、シェイプ、吹き出し、スタンプなどを使って簡単に注釈を付けられるため、ユーザは記録されている適切な情報をすばやく取得できます。
提出物がレビューのために送信されるとき、1 人の担当者だけの承認で済むことはほとんどありません。たいていはアーキテクト、機械設備設計者、電気設計者、および配管設計者が承認者に含まれます。ほとんどの提出物は最終承認を受けるのに 2 週間かかるため、次のレビュー担当者に進む前に、それぞれの当事者による提出物の個別レビューを待つことは非効率的です。1つの提出物をすべての必須レビュー担当者に同時に割り当てることができるため、遅延のリスクやフィードバックの管理と収集に費やす時間を低減できます。
BIM 360のような平行レビューを可能にするテクノロジーを使用すれば、複数のレビュー担当者を共同レビュー担当者として追加し、この担当者全員に提出項目を同時に送信できます。共同レビュー担当者は、コメント フィールドに回答を追加できるようになります。レビュー担当者は、共同レビュー担当者のコメントを調整して正式な回答に組み込み、承認が明らかであることを保証します。ここでも透明性の向上により、プロジェクト チーム全体の責任が明らかになり、アクションを起こす必要がある部分を容易に特定できるようになります。
提出物を提出またはレビューする必要がある個人の他に、ワークフローである項目を進めるとき、ステータスの把握のみ必要で、アクションは不要な追加のチーム メンバーは、配布リストの監視/メンバーとして追加できます。このメンバーには、提出項目の作成、転送、レビュー、すべての資料が正しいことを確認してもらうために公開された時点で通知がいきます。監視/配布リストに追加される個人の例としては、追加された業者、サブコン業者、社内チーム メンバー、設計者、さらには施主等があります。
提出物では、ステータスが重要です。設計チームの正式な承認なしにプロジェクトで使用された材料や製品は、請負業者が撤去および交換を負担することになります。これは大きな問題となり、設計変更につながる可能性があり、時間の無駄とプロジェクトの遅延の原因となります。
すべてのテクノロジーがカスタマイズ可能なわけではありません。チームが標準的な用語を使い慣れている場合には問題となる可能性があります。明確で個別のステータス インジケータを作成できるテクノロジーの導入により、プロジェクト チームはどの提出物が承認されているかを明確に把握し、建設を開始できるようになりました。
提出物を期限どおりに承認することは、プロジェクトをスケジュールどおり進行させるために不可欠です。スケジュールどおりに遂行されていることを確認するには、プロジェクトを管理するプロジェクト エンジニアからステータスの更新とレポートが頻繁に要求されます。
詳細なカスタムのレポートとダッシュボードを作成できるプロジェクト管理ソリューションを実装します。また、これらのレポートはオーナーやその他の関係者と共有されるため、専門的な見え方が求められます。たとえば、ユーザが簡単に PDF レポートを作成し、そのレポートに提出物のパッケージから選択したものをすべてロゴ付きで表示できるテクノロジーがあります。
これまで、提出物を作成、追跡、承認するための細分化されたシステムは非効率的な手作業のプロセスでした。しかし、現時点でも、提出物を合理化して膨大な時間とリソースの節約に役立つツールはそれほど多くありません。
プロジェクトの提出物を自動化し、標準化する方法をお探しであれば、Autodesk Construction Cloud™ の業界向けツールをご検討ください。適切なソフトウェアをツールとして使用すれば、エラー、遅延、コスト超過のリスクを低減しながら、迅速に施工を進めることができます。
Grace Ellis
Autodesk、Digital Builder Blog 編集主任